キックなしでもクロールは泳げる!

医療従事者が水泳の常識にメスを入れていきます。

06 キックを打たないと速くなる!?

水泳は、何との戦いだと思いますか?答えは、水の抵抗です。

大人から水泳を始めた方の、キックを見ていますと、大半の方が、非効率的な打ち方をしています。キックを打ち下ろしたあと、(アップキックをしないで)両足が開いたままだったり、蹴り幅が大きかったり、膝が曲がったままだったり・・。後ろから見ると、明らかにブレーキになっているのがわかります。ブレーキになるくらいなら、いっそのこと、キックを打たないほうがいいのです。

水の抵抗というのは、物体の前面または、後ろから見たときの断面積が、大きければ増加します。

今は、秋刀魚が旬ですね。あなたの食卓にもよく並ぶでしょう。秋刀魚はとても、抵抗の少なそうな形状をしています。上から見ると、後部は前部よりも細くなって尖っています。この体型のおかげで、すばやく泳げるのです。

人が泳ぐ時もしかり。理想的なフォームは、両足を閉じて、つま先を伸ばした状態です。キックを打たずに、体操選手のように真っ直ぐそろえたままの方が、一番抵抗が少ないのです。結果、1ストローク時の進みも速くなります。

さらに、キックなしのメリットを見ていきましょう。

1.今まで適当にキックをしていた方が、2ビートを練習する場合です。

今までの不規則な(6ビートとは呼べない)キックのクセは、なかなかリセットできないものです。これは、体幹が安定していないから、無意識にキックでバランスを取ろうとするのです。ですからしぱらくの間、スイムではキックを使わないで、忘れてしまったほうがいいと思います。

キックなしで泳げぱ、過去のキック(呪縛)から開放されます。完全に忘れさせる効果があります。

すると、必然的に体幹を安定せざるを得ません。今流行りの体幹力が身に付きます。キックなしで練習してから、2ビートをスイムに取り入れてみて下ざい。※もちろんプルブイを使用しても構いません。

2. 人間は、同時に2つのことを意識できません。

クロールを泳ぐとき、あなたはストロークとキックを同時に意識できるでしょうか?私はできません。(無意識なら可能ですが) キックに意識を向ければストロークが疎かになります。

キックを使わなければその分、ストロークのみに集中できます。ストロークの技術が、格段にアップしますよ!

 

05 キックを打たないと浮きやすくなる!?

いきなりですが、生理学的な話をします。 

血液が流れている血管ですが、では運動すると、運動で使われる筋肉を栄養する動脈血管はどうなると思いますか?

動脈血管は酸素と栄養をたくさん供給するため、拡張します。逆に運動しないと収縮します。

そこで、ビート板を使ってのキックについて考えてみます。

大きく動く下肢の筋肉は、たくさんの酸素と栄養が必要です。前述のとおり、動脈血管は拡張し、血流が増大します。また、筋温を下げるため、毛細血管も拡張します。(温水の場合)

一方、上肢はどうでしょうか?全く動かさない上に、強い緊張を強いられます。当然、血流は減少します。

結論を言うと、上半身は軽くなり、下半身が重くなります。板キックをしてからクロールを泳ぐと、足は沈みやすくなります。

次に、ストロークとキック両方の場合はどうでしょうか?

残念ながら下半身が重くなります。なぜなら、下肢の筋肉は酸素消費量が圧倒的に多いからです。それだけたくさんの血液を送らねばなりません。(ついでに言いますと、息も上がります)※6ビートの場合ですが。

では本題です。キックなしでクロールを泳いだら?ストロークだけなら?

もう、わかりますよね?上半身が重くなり下半身は軽くなります。結果、足は浮きやすくなります。

さらにもう一つメリットが生じます。下肢を使わないので、酸素消費量も少なくなるため、息も上がらず、楽になるのです!

次回は違う角度から、キックを打たないメリットについてお話します。

 

 

 

04 固定観念に縛られすぎている!

クロールを泳ぐ時はキックを打ちます。誰もがそうでしょう。それは当たり前だからです。

しかし、私はそう思いません。常識は、自分ではなく他人が作ったものだからです。

大人になってから水泳を始めた方が、口を揃えて言われることの一つに、キックは難しいというのが上げられます。

なぜキックを練習するのでしょうか?目的は何でしょうか?

大会に出て、記録に挑戦したいのであれば必要でしょう。(推進力が目的のキックです)

しかし、プロローグに列記したような泳ぎが目的でしたら、キックは打たなくてもいいと思います。

「いや、キックは必要だ」と言う方もいます。つまり、浮けないから、キックを打って足を浮かそうとするわけですね。(浮くのが目的のキックです)

または、不安定な姿勢のため、どうしても無意識に打ってしまう。(バランスを取るのが目的のキックです)

ならば、しっかり浮けるようにしましょう!足を浮かすために、バランスを取るために無理してまで、キックをマスターする必要はないと思います。

クロールの推進力は基本、腕の動き(プル)+体幹の回転から生まれます。しっかり浮いていれば、キックを打たなくても、ちゃんと前に進みます。それどころか、後ろにだって進みます。

隣のコースで、学生さん達がプルブイをつけて、腕だけで泳いでるじゃないですか!あれです。

あのドリルも、見方によっては立派なクロールです!

長々書いてしまいましたが、これだけはお伝えしたいと思います。

きれいに見える、うまいと言われる人の泳ぎの特徴は、しっかり足先まで浮いていることです。

では、明日から2回に分けて、キックを打たないメリットについてお話しましょう。

03 あなたが浮けないのはなぜ?

水泳の基本である"浮く”の話。

教本通りの説明はしません。あくまで医療従事者の視点から。

あなたが浮けない理由には2つあります。

  1. 生理学的な問題
  2. 技術的な問題

今回は1つ目について述べていきます。

地球上は、重力というものが支配しています。

陸上(日常)では、人は座っているか立っています。中には寝転がっている人もいますが・・

すると、体の中では何が起きているでしょうか?

血液は水分ですから、重力によって下へ下がります。立ち仕事やデスクワークをしているあなたなら、分かると思います。そう、むくみます。運動すれば別ですが・・。

もちろん、心臓から上にある頭や腕にも血液は行き渡りますが、総じて足(下肢)に血液は流れやすくなっています。それだけ血液が足に集まったら、重たくなるのも当然です。

カンのいいあなたは気付いていると思います。そうです!プールで浮こうと横になると、足は沈むんです。間違いなく。ただでさえ、筋肉量が多く重たい足です。浮くほうが不思議なくらいです。今の私でも、足は沈みぎみになります。※体格や性別により個人差はありますが。

ですから私は、プールに入っていきなり浮くことはしません。しぱらく水中歩行をします。

水中を歩くことによって、足に溜まった血液を、上半身へと戻すのです。水中走行だけでも、足はずいぶん軽くなります。

試しに、プールに入った直後と、プールから上がる直前に、伏し浮きをして比べてみて下さい。その差を実感できるはずです。

※水中歩行時、しっかり上肢を前後に動かして下さい。できるだけ上肢に血液が行き渡るように、リラックスして。また、プールに入る前に、腕をグルグル回したり、スワイショウをしたりしてから、プールに入るのもいいです。(遠心力で、手に血液が集まります。)

注)付け加えますが、間達っても、ビート板を使用してのバタ足だけは、おすすめできません。ますます足は重くなります!←後日詳しく説明します。

こうして、体の中をリセットしてから、浮くようにします。下ごしらえもなく、いきなりは誰だって浮けません。

2つ目(浮く技術)については後述しますが、その前に知ってほしいことを、何回かに分けてお話します。

 

 

 

 

02 なぜキックなしで泳げるの?

上の見出しのように、なぜ?と思われたかもしれませんが、本当です。

今の私は、キックを全く打っていません。それでもちゃんと前に進みます。↓

 

http://www.nicovideo.jp/watch/sm27841287

 

 

さらに、ゆっくり泳ぐことを練習すればするほど、速くなっていきます。

もちろん、全力でダッシュする学生さんにはかないません。

が、少なくとも、10代の頃(水泳部に所属していました)の私よりは、今の私のほうが断然速いです。しかも楽です。

 なぜ?

それは、基本に忠実だからに他なりません。

なんだ、結局これかよ・・そうあなたは思うでしょうね・・軽く考えているでしょう?しかし、よくよく考えてみてほしいのです。

水泳に限らず、物事すべてには基本というものがあります。

人間関係で言えば挨拶。必ず身につけるべきことですよね?

では、水泳の基本とは?

「体を伸ばして浮くこと」

そんなの分かってるよ!

そう怒らないで・・その基本が正しく理解されていないから問題なのです。しかも医学的にです。

 この”浮く”ことが正しく理解できれぱ、

私のブログタイトルにある

キックなしでもクロールは泳げる!

ということも、分かるようになると思います。

本当に大事なことですので、次回は泳ぎの本質である”浮く"にメスを入れていきます。

01 プロローグ

ラクに泳ぎたい!

きれいに泳ぎたい!

人前で堂々と泳ぎたい!

少ないストローク数で大きく泳ぎたい!

とにかく、周りから上手だと言われる泳ぎがしたい!

あなたはきっと、そう思っているでしょう。

でも、現実には無理だ・・いくら泳いでもうまくならないよ・・できっこないよ・・才能がないよ・・

あきらめようかな・・・ちょっと待って!

うまくなるには、水泳に対する考え方を、少し変えてみる必要があります。思いきったきっかけが必要かもしれません。常識通りにやっている限り、行き詰まってしまいます。

過去の私がそうでした。試行錯誤し、苦しんでもがいて、それでも諦めずにプールに足を運び・・・

クロールの改造を始めてから5年かかりました。思ったよりもかかりすぎています。

あなたもきっと、長い間悩んでいるでしょう・・もっと上達の速さをショートカットできないかな?もっと効率的に練習できないかな?

今だから言えます。その方法、あります!

私なりに試みてきた中で、有効だったことを、このブログにまとめていきます。

泳ぎがうまくなりたいあなたに、きっかけ作りのお手伝いが出来たらいいなと思います。

 

00 プロローグ

このブログでは、私が今まで水泳をやってきて気付いたこと、そこから得たこと、改善してきたこと等をまとめていきます。

単なる体験談に終わらないように、医療従事者の立場から、医学的な見解も含めていこうと思います。

ぜひ参考にしてみてください。

当ブログがあなたの気付きに繋がればいいなと思います。

もちろん、水泳の専門家ではないので、もし誤りがあれば、ご指摘頂ければ幸いです。

 

[おことわり]

当ブログは、TIスイムの学習法を紹介するものではありません。

予めご了承ください。