キックなしでもクロールは泳げる!

医療従事者が水泳の常識にメスを入れていきます。

03 あなたが浮けないのはなぜ?

水泳の基本である"浮く”の話。

教本通りの説明はしません。あくまで医療従事者の視点から。

あなたが浮けない理由には2つあります。

  1. 生理学的な問題
  2. 技術的な問題

今回は1つ目について述べていきます。

地球上は、重力というものが支配しています。

陸上(日常)では、人は座っているか立っています。中には寝転がっている人もいますが・・

すると、体の中では何が起きているでしょうか?

血液は水分ですから、重力によって下へ下がります。立ち仕事やデスクワークをしているあなたなら、分かると思います。そう、むくみます。運動すれば別ですが・・。

もちろん、心臓から上にある頭や腕にも血液は行き渡りますが、総じて足(下肢)に血液は流れやすくなっています。それだけ血液が足に集まったら、重たくなるのも当然です。

カンのいいあなたは気付いていると思います。そうです!プールで浮こうと横になると、足は沈むんです。間違いなく。ただでさえ、筋肉量が多く重たい足です。浮くほうが不思議なくらいです。今の私でも、足は沈みぎみになります。※体格や性別により個人差はありますが。

ですから私は、プールに入っていきなり浮くことはしません。しぱらく水中歩行をします。

水中を歩くことによって、足に溜まった血液を、上半身へと戻すのです。水中走行だけでも、足はずいぶん軽くなります。

試しに、プールに入った直後と、プールから上がる直前に、伏し浮きをして比べてみて下さい。その差を実感できるはずです。

※水中歩行時、しっかり上肢を前後に動かして下さい。できるだけ上肢に血液が行き渡るように、リラックスして。また、プールに入る前に、腕をグルグル回したり、スワイショウをしたりしてから、プールに入るのもいいです。(遠心力で、手に血液が集まります。)

注)付け加えますが、間達っても、ビート板を使用してのバタ足だけは、おすすめできません。ますます足は重くなります!←後日詳しく説明します。

こうして、体の中をリセットしてから、浮くようにします。下ごしらえもなく、いきなりは誰だって浮けません。

2つ目(浮く技術)については後述しますが、その前に知ってほしいことを、何回かに分けてお話します。