キックなしでもクロールは泳げる!

医療従事者が水泳の常識にメスを入れていきます。

05 キックを打たないと浮きやすくなる!?

いきなりですが、生理学的な話をします。 

血液が流れている血管ですが、では運動すると、運動で使われる筋肉を栄養する動脈血管はどうなると思いますか?

動脈血管は酸素と栄養をたくさん供給するため、拡張します。逆に運動しないと収縮します。

そこで、ビート板を使ってのキックについて考えてみます。

大きく動く下肢の筋肉は、たくさんの酸素と栄養が必要です。前述のとおり、動脈血管は拡張し、血流が増大します。また、筋温を下げるため、毛細血管も拡張します。(温水の場合)

一方、上肢はどうでしょうか?全く動かさない上に、強い緊張を強いられます。当然、血流は減少します。

結論を言うと、上半身は軽くなり、下半身が重くなります。板キックをしてからクロールを泳ぐと、足は沈みやすくなります。

次に、ストロークとキック両方の場合はどうでしょうか?

残念ながら下半身が重くなります。なぜなら、下肢の筋肉は酸素消費量が圧倒的に多いからです。それだけたくさんの血液を送らねばなりません。(ついでに言いますと、息も上がります)※6ビートの場合ですが。

では本題です。キックなしでクロールを泳いだら?ストロークだけなら?

もう、わかりますよね?上半身が重くなり下半身は軽くなります。結果、足は浮きやすくなります。

さらにもう一つメリットが生じます。下肢を使わないので、酸素消費量も少なくなるため、息も上がらず、楽になるのです!

次回は違う角度から、キックを打たないメリットについてお話します。