キックなしでもクロールは泳げる!

医療従事者が水泳の常識にメスを入れていきます。

08 浮く技術 !

 

以前の記事 03 で予告したように、今回は技術的なお話をします。

私達の浮き袋(肺)は、肋骨の上下運動と横隔膜の働きによって、膨らんだり、縮んだりします。普段の肋骨は、重力によって下がっています。つまり、肺は縮んでいるわけです。

このまま伏し浮きをするとどうなるでしょうか?確実に筋肉量の多い足の方から沈みます。浮き袋が小さいわけですから、沈んで当たり前です。

あなたはプールで浮く時、浮き袋を意識したことはありますか?最大にまで浮き袋を活用していますか?おそらく、男性の方はほとんど活用されていないと思います。

実際、男性の方が女性に比べ、浮くことに苦労しています。なぜでしょうか?

一般的には、男性は筋肉質で、女性は皮下脂肪が多い為と説明されます。しかし、意外と知られていませんが、次の事も関係します。

男性は、腹式(横隔膜)呼吸が主です。反対に、女性は胸式(助骨の上下)呼吸が主です。肺を最大に膨らますには、肋骨を目一杯広げる必要があります。(12月15日改訂)そして肋骨を広げたまま固定します。女性はわりと自然に出来ます。(個人差はもちろんありますが)

男性は、よっぽど意識しないと肋骨の広げ及び固定が出来ません。アワビ取りのあまさんが、女性なのは、こうした理由からなんですね。肺というものは、意識しないでいると、縮んでいく一方です。

 

次に、伏し浮きの留意点です。記事 03 で説明したように、下ごしらえをしっかり行います。それが終わっていることを前提にお話します。 

 

まず、プールに立ったまま

伸びをするように万歳し、

肋骨を広げながら胸のほうへ息を入れます。

その後息を止めます。

万歳しながら息を吸うと、わりと楽に助骨を広げることが出来ます。

※決して息をこらえないようにします。

そして、上体をまっすぐキープしたまま(ねこ背にならないように)前に倒します。手先が水面に着いたら、軽く底をけって浮いてみます。もちろん、足は揃えます。

 

肩をすくめるように前に出し、脇の下を伸ばすイメージを持つといいでしょう。

 

不思議と浮きませんか?大抵の方は浮きます。参考にしてみて下さいね。↓ 

 

それでも足がまだ沈みますか?

チェックポイント1 ・・プールの底を見ていますか?少しでも前を見ると、頭が水面上に出ます。首をリラックスして頭を水面すれすれまで沈めて下さい。

チェックポイント2・・ おしりの穴を閉めるような意識で、足全体を水面に引き上げる努力をしていますか?あくまでも、力を入れるのはおしりや足のつけ根です。足先を意識しないようにして下さい。

チェックポイント3・・お腹を凹ます。胴体を細長く引き伸ばすイメージを持つと自然に肋骨が上がり、お腹が凹みます。

※肩が上がらない人は、上がる所までで結構です。無理に水面に手先をキープする必要はありません。

それでも浮けないのであれば、プルブイを使用します。この補助具は、正しい姿勢感覚を知る為に役に立ちます。

 

 

浮けるのと浮けないのとでは、今後の技術の上違に大きく影響します。

伏し浮きは、肋骨の柔軟性に大きく左右されますので、日頃から万歳ドローインをされることをお勧めします。

 

浮く練習は、何度もくり返して、体にしみ込ませるしかありません。一回だけやって、出来ないと諦めると、永遠に浮けません。スポーツは、脳と体をくり返し使う作業です。くり返す程、体にしみ込んでいきます。

なお、足の浮くメカニズム及び、万歳ドローインについては、46記事で詳しく述べています。

 

あなたの体には浮き袋が入っています。必ず浮きます!

 

次回から、泳ぎのヒントを紹介したいと思います。あくまでも、気付きを得て頂くのが目的ですから、使えそうであれば試してみて下さい。