17 オーバーローリング
17記事に加筆してお届けします。というのも、斜め前方に伸ばす時に発生する問題点が、やはり後を立たないからです。深く理解する為に、再度目を通して頂ければ幸いです。
過度に頸椎をねじるということ
体幹が回転するということは(09参照)、頸椎にねじりの力が加わることを意味します。あまり頻繁に可動域を超えたねじりの力が加わると、骨同士がぶつかり合い
骨棘を形成させる原因となります。
10代の頃は体が柔らかいので気になりませんが、還暦を迎える頃は、ほとんど、椎間板が弾力を失っており、簡単に骨同士がぷつかります。私も以前、クロールをカイゼン中、オーバーローリングをくり返し、今でも首の違和感が取れません。また、肩関節にも過剰な負担がかかります。特に、三角筋後部は肩関節の中で一番弱い部位です。そこを酷使することになります。というわけで、オーバーローリングを防ぐ方法がこれ。↓
また、実際のスイム映像、47記亊の動画『コンビネーション』をご覧になるととてもよくわかります。
この方法、じつは背泳ぎのリカバリー技術の応用なんですね。背泳ぎのリカバリーの腕は天高く伸ばすので、ゆっくり動かすとブレやすいんです。それで、アゴと肩をくっつけることにより腕を安定させるんです。また、より前方に入水が可能になります。これは、競泳日本代表の入江選手もやっています。クロールにも同じことが言えるんですね。
ちなみに、前を見ようとアゴが上がると、肩とアゴが離れてしまい、余計に前面から水の抵抗を受けます。07のコメントで言いたかったのは、この事です。
[補足]
私の言うアゴとは、アゴ先ではなく、ほっぺた辺りです。
ただし、肩をアゴにつけようと強く意識しすぎると、頭が肩の方に動いてしまい、軸ブレの原因になります。
なので、脇の下を伸ばします。すると結果的に肩がアゴにくっつくんです。
え?くっつかないよ!という人もいるでしょう。それは・・腕の下げすぎが考えられます。
腕の伸ばす方向を斜め下と意識すると下げすぎになり、やはり肩が落ちてしまいます。つまり、オーバーローリングになりやすい。伸ばす方向はあくまで斜め前です。角度にすると、ちょうど時計の4時方向です。3時半でも構いません。
もちろん進行方向、肩の延長上にまっすぐ伸ばす。内側に入らないよう気をつけます。(オーバーローリングの本当の原因はこれ)
注意!! 息つぎで顔が横を向く時は頭から肩を離してください!くっつけようとすると、内側に手が入ってしまい蛇行します。
よく従来の指導で、肩を枕に見たて、枕の上に頭を乗せましょう!というのがありますが、完全に誤りです。だいたい息つぎ時に、肩と頭をくっつける動作自体、力みを生みます。私も以前これを信じてやっていましたが、ビデオで見ると、息つぎ時アゴが上がってしまい、腕もがまんして伸ばせなかった。このクセを直すのにかなり時間がかかっています。
補足2
競泳選手は前方の腕を水面に平行に伸ばしていますが、これは泳速が上がっているから可能なのです。息継ぎでも前方の手が下がらないのは、前方からの水圧により水に乗っているからなんですね。水に腕を支えてもらっている訳です。
対し、ゆっくり泳ぎや、泳速の遅い初級者は、前方からの水圧が弱い為、水に乗れないんです。だから腕が下がるんです。ならば最初から腕を下げればいいんです。(47記事ゼロポジション参照)