キックなしでもクロールは泳げる!

医療従事者が水泳の常識にメスを入れていきます。

47 クロールにおけるゼロポジション 及び 初動負荷

お知らせ] 

初動負荷及び終動負荷について、医学的な視点で述べさせて頂いた。ぜひ一読を。

※ここではゼロポジションに力のピークを持っていくことを初動負荷、フィニッシュに力のピークを持っていくことを終動負荷と定義します。

 

 

  今回は、25~43記事のキーワードをいくつか拾って書いてみました。そして新たに『ゼロポジション』というキーワードを加えてみたところ・・

では早速ご覧ください。

 

〔おことわり〕

ここで述べている内容は、『整形外科領域でのゼロポジション』です。水着でフラットに浮く話とは一切関係ありません。予めご了承下さい。

なお、フラットに浮く為のおは、46記事で紹介されています。

 

 

 

1 本能について

四足獣は、内旋しながら地面を蹴ります。そして、を抜いた反動(本能)で外旋しながらもとに戻します。つまり、内旋にしか力を入れない。

だからバネの効いた走りが可能なんです。人間はその四足獣から進化した動物。その証拠として、人間の肩関節は構造的に、内旋方向に捻る筋肉がとても発達している。特に広背筋が発達しています。広背筋は、内旋動作の主働筋です。

人間も内旋の反動を利用したほうがラクに素早くストローク出来ます。

その反動をもっとくわしく言うと・・。伸張反射がそう。筋肉というものは、瞬時に引っ張られると、引き伸ばされまいと収縮する。いわゆる防衛反応です。

 

蛇足ですが、人は走る時、股関節を伸展しながら地面を蹴ります。最大に伸展すると、股関節前面を走行する大腰筋が引き伸ばされる。すると大腰筋は反射的に収縮し、足は前にふり出される。意識しなくとも本能によって股関節の屈曲が起こるんです。ちなみに黒人の大腰筋は日本人に比べ一回り太い。だから日本人は、矩距離では黒人に勝てないんです。

 

水泳のストロークも内旋の反動を使えばスムーズにリカバリーが出来ます。(52記事6フィニッシュ参照)

 

ただ、人間というのは手先がとても発達している。知的な脳が手を司っていて、ずいぶん細かい動きが出来ます。

しかし、この手先意識が時として力みを生じ、本能を邪魔します。

本能とは、無意識に行われる運動です。動きも体幹部から起こり、わりと大ざっぱです。

四足獣は逃げる時、いちいち体の動かし方を考えていません。考えていたら襲われて命を落とすでしょう。

本能的な(動物的な)動きは、手先をリラックスさせる体幹意識で発揮される。手先意識だと、余計な力の入った人間的な動きになる。力みを生む手先意識とは捨てたほうがいい。

 

 ここで言う体幹意識とは、腕の付け根です。通常、よく言われるのが肩甲骨ですが・・しかし、肩甲骨と言われても私はしっくりこない。変に意識しないほうが、動きが滑らかになり体幹とも連動する。

私の場合、背中(肩甲骨)ではなく、脇の下に意識を持ちます。こちらのほうが感覚的に自然だからです。

入水~グライドは脇の下を伸ばす。キャッチは脇の下に水のボールを抱え込む。プルは脇の下の筋肉に力を入れる。リカバリーは脇の下を開く。いかがですか?

特にプルは、手先意識だと確実に力みます。上腕三頭筋に力が入ってしまう。つまり、棒かきです。かと言って背中(肩甲骨)意識では、何をしているのかわからない。

 

脇の下を意識するのは・・

ズバリ、広背筋がそこにあるからです。

私はよく、広背筋と言いますが、皆さんはいまいちイメージできなかったかも知れません。

 

では、右腕を上げて左手で脇の下を触って下さい。脇の下には、大きな窪みがあり、その両側に太い筋肉が縦に走っています。

 

内側が大胸筋、外側が広背筋です。

 

泳ぐ時は肩甲骨ではなく、脇の下の水かきに見える、外側の筋肉(=広背筋)意識します。

クロールのストロークをくり返し見ていると、あることに気付きませんか?グライドは広背筋を伸ばしている。プルは広背筋を収縮させている。

このように、左右交互に水かき=広背筋を伸縮させる。これが体幹を使って泳ぐということです。

 

 

ついでに・・広背筋とよく似た作用をする筋肉について。

 従来からよく、腹斜筋を使え!と言われます。実は、これは当たっていて、私も腹斜筋を使って泳ぐ時があります。(※6ビートキック限定)

この筋肉は、広背筋の動きを補助する役目があります。広背筋というのは構造上、プル前半にしか力を発揮できません。プル後半を補うのがこの腹斜筋です。

プル開始に広背筋に力を入れ、手先が肩を越えたあたりから、広背筋に被せるように腹斜筋に力を入れる。意識としては、脇の下から脇腹まで広く持ちます。腹斜筋を使えは、上腕三頭筋に頼らずともフィニッシュがパワフルになるのは確かです。

私も力強く泳ぐ時に多用しますが、ただ、体幹を捻る為息が漏れます。つまり、腹圧をかけにくくなる。そして、腰痛持ちにはしんどい。

しかし、悪いことばかりではありません。体幹を捻るということは、骨盤を回転させず、上半身だけを大きく回転させることを意味します。となると、キックの支えが必要になる。その為に(骨盤を安定させる為に)ビートキックを使うんですね。

大のメリットは(骨盤が傾かないから)バネの効いたキックが力強く打てること。腹斜筋を使わない泳ぎに比べて、ラクにアクセントの効いた6ビートが打てます。

そのメカニズムは・・

プル後半には腹斜筋の収縮により、上半身と骨盤の間で捻りが生じ、それぞれ逆向きの回転になる。例えば右手のフィニッシュでは、右上半身が上へ、右骨盤が下へ移動します。すると骨盤の動きにつられ、右足が下がります(ダウンキック)。これがアクセントキックの正体です。

このメリットがあるからこそ、競泳の選手は腹斜筋で泳ぐんですね。

腰痛持ちでなければ、力に余裕があれば、6ビートクロールを泳ぐのであれば『腹斜筋でフィニッシュ!』をお勧めします。

 

とかく、 脇の下意識なのか手先意識なのかの違いが、水泳の得意、不得意を決定づけます。

もう一つ。クロールのストロークは上腕の内旋がうまくできるか否かで、上違の度合いが違ってくるんですね。

内旋の主働筋は、脇の下の広背筋ともう1つ、大胸筋です。

水泳選手は、泳ぎこみにより感覚的に内旋という動作を獲得しています。内旋しろ!

と教わらなくとも自然にそうなる。その訳は、元来人間の体に備わっている本能だからです。

しかし、私は違った・・昔から運動音痴で、頭でっかちだった。

ボールを投げるのも、走るのも苦手だった。逆に、美術や工作は得意だった。

おそらく、手先がとても器用だった(手先意識が突出していた)からでしょう。

こんな私が体幹意識で 運動できるようになったのは、学校で気功や解剖運動学を勉強したからです。つまり、体のしくみと扱い方を学習したんですね。

特に、肩関節の内旋を理解したことは、大きな 進歩でした。

 この内旋 動作を手に入れると、本当に泳ぎが変わります。ぜひ、あなたも追求してみて下さい。

 

 

 

[追記]

プル動作の広背筋の使い方ですが、誤解されている方が非常に多い。

筋は文字からして、背中の筋肉というイメージがあります。その為、背中に力を入れるんだ!と、皆さんは思いますよね?実際、筋トレのラットプルダウンなどは、胸を張り、肩甲骨を寄せて背中へ腕を引くようにします(上腕は外旋する)。

実は、これは水泳の動作としては誤りです。この背中を意識した行為こそが、背中の反るバタフライやクロールを量産するんですね。

 

広背筋というのは、解剖学的に見れば、背中ではなく腰部と腕の付け根を走行している。意外ですが、一般に言う背中(肩甲骨周囲)には広背筋は存在しないんです。背中に力を入れると、広背筋ではなく脊柱起立筋、菱形筋が働きます。

 

 

 そもそもプルというのは、肩甲骨を背骨に寄せる動きはしない。なぜか?

プルというのは、正確に言うと広背筋だけではなく、大胸筋も協調して働く必要があるからです。

私の泳ぎを見れば、肩甲骨は寄せていないことがわかります。↓

 

http://www.nicovideo.jp/watch//sm29880364

 

寄せるのではなく、逆に外に開きます。そして足元方向に下げて固定する。これを肩甲骨の下制と言います。脇の下に力を入れると、自然に下制できます。

ちなみに肩甲骨を開く理由は、ゼロポジションになるからです(後述)。

 

そして、

プル開始時は、必ずゼロポジション上腕を内旋させます。

理由は、広背筋だけではなく、大胸筋も作用させる為。

肩甲骨を寄せて背中に力を入れたら、しんどい上に大胸筋が働かず内旋しづらくなります。

 

筋トレは、筋をいかに疲労させるか(効かせるか)の世界です。その為に、しんどい終動負荷で行ってきたとも言える。しんどいから筋肉が発達するんですね。しかし、水泳のプル動作は、いかに疲労させないかということに重点を置きます。つまり初動負荷です。

筋トレ(ストレッチもそうだが)は、実動作とはかけ離れているものです。なぜなら、目的が全く違うからです。筋トレの動きを泳ぎで行うとラクに泳げないのは当然ですよね?

 

 

 

蛇足ですが、水泳ではよく肩甲骨を動かせ!と言われませんか?しかし、肩甲骨は無意識のほうが滑らかに動きます。

私はストローク中、意識して肩甲骨を背骨に寄せることは一度もしない。もちろんリカバリーもです。今一度先程のビデオをご覧下さい。↓

 

http://www.nicovideo.jp/watch/sm29880364

 

私の背中は大きく水上に出ていますよね?そして肩甲骨はどうなっていますか?

明らかに開いていますよね?実は、肩甲骨を開くと(背中をリラックスすると)ボディポジションが高くなります。

意外と知られていませんが、プルからリカバリーにかけて肩甲骨を背骨にせると(背中が力むと)肋骨が十分に広がらなくなります。すると重心がバックします。リカバリー時の吸気も十分ではなくなる為、ボディポジションが下がります。

 

あなたは、柴田亜衣選手の泳ぎを見たことはありますか?彼女はさらに背中が大きく水面上に出ています。その彼女がなぜストレートで泳ぐのかご存知ですか?

それは、肩甲骨を開いたまま(背中をリラックスしたまま)リカバリーするからです。背中がリラックスすると、脇や背中の肋骨が十分に広がり、十分な空気が入ります。だから彼女の背中は水面上に大きく出るんですね。もし背中に、余分な力を使っていたら、背中の肋骨が広がらずに水没し、抵抗が増します。そうなると、テンポも上がらなくなり、あのハイテンポな泳ぎは出来なくなります。

また、ストレートアームは、遠心力が強くかかります。その為放り投げないと疲れます。背骨に寄せると、遠心力との引っ張り合いになるだから開く。ただ、バタフライと違い、片手リカバリーの為ブレやすくなる。そうならないよう、内旋動作を行います。すると、ドッジムーブメントにより肩甲骨が浮き、背中と脇の肋骨が広がり軸が通りやすくなります。結果ブレなくなる。↓

 

http://www.nicovideo.jp/watch/sm30476938

 

※内旋しているかどうかは手の平の向きで判別出来ます。

 

さらに余談ですが、私はストレートアームクロールは否定すべきではないと思います。なぜなら、肩甲骨の使い方、反動の行い方、そして腕の落下がより明確になるからです。→詳しくは52記事6フィニッシュで。

 

というわけですが、

今まで述べたように、脇の下を意識すれば、結果的に肩甲骨は動く。

 

さて、広背筋と大胸筋の意識の仕方です。もう一度右腕を軽く上に伸ばし、左手で脇の下を触って下さい。そして、右腕を足元へ引くように動かして下さい。その時、脇の下の窪みの両サイドの筋肉が収縮するか確認します。収縮しないようであれば肩を足元方向に押し下げます(肩甲骨の下制)。わかり難ければ、鉄棒を右手で掴みながら引いてみます。両筋をしっかり収縮させると、窪みがより深くなります。このポジションがあなたのゼロポジションです。※ゼロポジションは個人差があります。一概に角度は何度と決めつけることはできません。

 

このように脇の下を触りながら、どの角度が一番力が入りやすいか探ってみます。これが正しい広背筋(と大胸筋)の意識の仕方です。

 

 

 

 

 

 

 2 関節を緩める

関節を動かす筋肉に偏りがあったり、一部の筋肉に余計な力が入った状熊だとギクシャクした動きになる。

 

あなたは太極拳を見たことはありますか?また、実際に気功など習ったことはありますか?私は学生の頃、気功を習いました。気を感じる・・ことは出来ませんでした。しかし、体(関節)を緩めることを覚えた。関節が緩むと重みつまり、重力を感じることが出来る。リラックスすると体の重さを感じることが可能なんです。

 

・・ある時、気功の先生が野球の投球動作を披露してくれた事がありますが、リラックスした肉体がなすパフォーマンスは驚異的でした。60才になるその肉体は10代の選手以上にダイナミックで美しいフォームだった。60近い肉体なのに、なぜそんなにしなやかなんだろう!私はいまだにこの出来事が脳裏に焼き付いています。今だからわかるんですが、筋肉(関節)が偏りなく全てゆるんでいるから、しなやかなんですね。

無駄な力が入っていない。

水泳でも筋肉を緩めて泳ぐと、とてつもないパフォーマンスが可能になるんです。

 

 余談ですが、私が泳ぐ前にブールサイドで必ずやることがあります。それは気功の準備体操であるスワイショウ意味は、手を捨てる。

 

 スワイショウはただ、力を抜いて腕をブランブらんと前後に振るだけの簡単な体操です。これなら誰でも気軽に出来るでしょう。

 しばらくブランブランしていると、腕が重たく感じるようになる。その訳は、手先の血管が拡張して血液が集まってくるから。リラックスすると重く感じるのはこういうことです。

この状態になると、不思議なことに水と一体になる。つまり、水の引っかかりが向上する。これがキャッチの本質です。キャッチはリラックスが命なんですね。この重みを感じながら、脇の下の水かき=広背筋でストローク出来れば理想的です。

逆に、手先意識で腕に力を入れると、血管が収縮しスカスカになります。

手先意識を捨てる為にも、スワイショウを実践されることをぜひお勧めします。

 

 

 

 

  3 ゼロ  『О』の意味

医療現場や、野球の投球動作ではよく言われている『肩のゼロポジション』。ご存知水泳では(特にクロール)、肩を痛める人がとても多い。『水泳肩』と言う言葉があるくらいです。なのに・・なぜかゼロポジションという概念がありません。このことはとても重大だと医療従事者の私は思います。

 

さて、今回のキーワードはゼロポジション。

肩のゼロポジションとは、体幹や肩甲骨から上腕骨に付く全ての筋繊維が、起始~停止までまっすぐで、等しい張力を維持した状態。そして内旋外旋もしない中間位。つまり、肩甲骨も(挙上、下制もしない)ニュートラルポジションにある。(※具体的な肢位は後述)

 

ゼロポジションとは、肩関節に付く全ての筋肉に余計な力が入っていない(ゼロ)リラックスした状態を言います。

 (注)筋のリラックスとは、筋肉が完全弛緩することではない。生体は、最低限の張カを保っている。筋肉を完全弛緩させるには、筋弛緩剤を投与することになる。もし仮に完全弛緩させた場合、肩関節が脱臼しやすくなる恐れがある。

 

 ゼロポジション。

 

要は、肩関節周囲の全ての筋肉を緩めることの出来るポジションということ。そして筋肉というものは、緩めた状態が最もラクにパワーを発揮できる。いわゆるタメです。

水泳のプル(開始時)でも、このポジションで行うと、最大限に力を発揮することが可能です。

その訳は・・

プル開始時ゼロポジションをキープすると、広背筋と大胸筋がお互いバランスよく張カを保つことができます。見方を換えると、この大きな両筋は、あたかも1つの巨大な筋肉と化して、いまかいまかとプルを待ち構えているんですね。

 

ラクに速く泳ぐ為のプルは、この両筋が同時収縮して初めて可能になります。

 

 水泳の推進力は、大半がプルから得られるというその源が、この大胸筋と広背筋です。

 

ゼロポジションとは、その両筋を動員する為のポジションでもあるんですね。

※指導者によっては、ゼロポジションのことをパワーポジションまたはパワーポイントと呼ぶ場合があります。

ただし!注意したいのは、実際に力を入れるのは、ポイントではなくゾーンです。正確に言うならば、パワーポイントではなく、パワーゾーンです。私がなぜ『ポイント』と呼ばずに『ポジション』と言うのか?それは、プル開始のみに力を入れるのではなく、プル前半に力を入れるからです。後述する初動負荷では、ポイントだけに力を入れるのではありません。

 

 

 

ちなみに、従来からある、肘を水面に近いところまで上げるハイエルボーキャッチは、肩甲骨を無理に寄せることになります。すると、肩甲骨は肋骨から浮いたままになり、大胸筋と広背筋が収縮しづらくなります。つまり、内側に力の入らないスッポ技けたプルになる。

 

ついでに・・最新のハイエルボーとは、肘が手先より高いということ。たったそれだけです。

肩が一番水面に近く、次に肘、そして手先です。肘が水面すれすれつまり、肩と同じ高さまで高い位置に保つということではありません。この従来のハイエルボーは、少なくとも大人から水泳を始めた人にはお勧めしません。このようなゼロポジションから外れた肢位は、確実に肩を壊します。私の言うゼロポジションで力を入れるようにすれば、水泳肩というスポーツ障害を予防することも出来ます。

 

 

 またまた余談ですが、水泳の練習をする時は、リラックスして、落ち着いて、ゆっくり動作で行うことが肝心です。先程出てきた気功や太極拳は、なぜゆっくり動作なのか?それは、ゆっくりでないと感じることの出来ないものがあるから。重心移動、水感、体の緊張具合などなど・・あわてて速く動かしたら、力むことしか学習出来ない。もがくことを覚えてしまったら元も子もない。

 

さて、リラックスするにはどうしたらいいか?それは、首(うなじ)を緩めることです。ほら、よくボクシングで、トレーナーさんが選手のうなじを揉んでいるでしょ?あそこが緩めば全身の筋肉がリラックスするんです。

 

あなたは、泳ぐ時や伏し浮きで前を見ていませんか?前を見ると頭が上がり、うなじが緊張します。すると全身に余計な力が入る。従ってちょこまかした小さな泳ぎになるんですね。だから、前を見てはいけないんです。

 

ちなみに、私が全身リラックスしている時は、通常では実現出来ないパフォーマンスを披露することが出来ます。それは、クロールや背泳ぎを9ストロークで泳ぐこと。しかし、ビデオカメラの前ではどうしても構えてしまい(必ずうなじが緊張して頭が上がる)、なかなか披露出来ないのが残念。意識をカメラの方に向けるのではなく、いつも通り、うなじを緩めることに集中すればいいだけのことですが・・。心と体は繋がっていることを実感します。

 

では、ここから先は、クロールのストロークについての解説です。

私の考えでは、グライド→キャッチ→プル→リカバリーの4ステージになります。 これは、筋肉の収縮と弛緩にうまく合致させる為です。→52記事の5参照

 

 

 

 

 4 グライド (シメ)

肩のゼロポジションは、 肩甲棘のラインと上腕骨の長軸ラインが一致した状態、具体的には 軽くYの字に開いて万歳した状態です。ほら、体操選手がよくやるあの万歳です。真上に伸ばすのではありません。そして手の平は軽く外を向くはずです。力を入れて外へ向けません(回内しない)。念の為。

※Yの字の両腕は、完全な真横に上げるのではなくやや前方に上げます。理由は、肩甲骨の土台である肋骨が楕円形にカーブしているからです。先程述べた、肩甲骨を外に開く。これです。

 

このまま顔を右に向けると・・右腕は斜め前方に伸びた(手の平は下を向いた)グライドのポジションに見えませんか?そして左腕の肘を曲げると・・サメのポーズではないですか!

このゼロポジションをキープした左腕が入水の構えとなります。サメのポーズそのものがゼロポジションなんですね。肩関節に優しいポーズなんです。

そして、入水からグライドするまでの一連の動作をゼロポジションで行います。(入水については45記事で説明済み)

 

 

 初級者と上級者の最大の違いは、惰性で滑るグライドを長くキープしているか否かです。大きなストロークで滑るように泳ぐには、前に腕を伸ばし続けることがポイントになります。 

私のクロールは、片方がストロークしている(動いている)時は、もう片方の腕は伸ぴたまま静止しています。グライドがとても長いんです。

※注意! 私の泳ぎは、両手が前で一瞬揃うキャッチアップではありません! 

 

前回、グライドを磨いてください!というお話をしました。しかし、皆さんは前方に腕を伸ばし続けるのは大変な努力を要しませんか?どうしてもがまん出来ずに、手を下げてしまいませんか?ズバリ、水面に平行に伸ばしていませんか?

がまん出来ないのは、ゼロボジションでないからなんです。自然な状態ではなく、力みを生む。体というのは正直なもので、ゼロボジションになりたがる。だから腕が下がるんです。

伸ばし始めから、斜め前方つまり、ゼロポジションに腕をもっていけば、いつまでもリラックスして伸ばし続けることが可能なんです。 ↓

 

 

 

 

 

5 キャッチ  (ゆる)

私の、キャッチ時の肩関節もゼロボジンョンです。なぜかというと、斜め前方に伸ばしたグライドそのものがキャッチだからなんです。グライドはゼロボジンョンであることは先程述べました。なぜグライド=キャッチなのか?

 

腕が斜め前方ということは前腕が水を捉える角度になるからです。グライド即キャッチなんですね。厳密に言えばグライドは筋肉を締めた(前方へ伸びることに力を使う)状熊で、キャッチは緩めた状態です。

緩めたキャッチが(肩甲骨の観点から見た)本来のゼロポジションです。シユッと腕を肩ごと前へ伸ばしてからリラックスする。すると肩甲骨は元のニュートラルポジションに戻る。つまり、カ発揮(プル)の準備が整う。タメをつくるんです。すると水の引っかかりが格段にアップします。私がキャッチ時にイメージすることは、バランスボールに乗っかること。

そして後方にプルするにつれ、腕は緩く弧を描いています。

上のビデオ『コンビネーション』は、私のキャッチの様子がよくわかります。

 

蛇足ですが

競泳のスイマーは、水面に平行に腕を伸ばし、そこから肘をカックンと曲げて(肘を立てるハイエルボー)前腕に角度をつけます。要するに、キャッチポイントが浅いんですね。しかし、この方法は肩関節の柔軟性がないと肩を痛めやすい。なぜか?それは先程述べたように、ゼロボジンョンではないからです。つまり、ローリング角度がつくと、肩関節が内旋したまま肩峰と上腕骨頭が衝突する(ロックする)からです。また、内旋したままだと肩甲骨が肋骨から浮いた状態(挙上)になる。浮いたままでは力も入らない。

 

少々脱線しますが・・

私の肩関節の内旋可動域は、極端なくらいに狭い。普通、腕を内側にひねり(内旋させて)前に突き出せば、肘頭が外もしくは、ななめ上を向きます。ですが・・私はななめ下を向いています。ここで肘をゆるめると・・ハイエルボーならぬ、ローエルボーになる。このような、肩の硬い人が無理にハイエルボーを行うことは、医学的に見てとても不自然です。

 

以前の私はハイエルボーをなんとか習得しようとしました。しかし、難解だった。肩甲骨を内側に回し込むように前へつき出し、最大限に内旋しても肘頭が上を向かないんです。しかし、解剖学的に考えてみれば当たり前です。体はローリングし、腕が外転しているんですから・・。ハイエルボーにどうしてもこだわるなら、完全にローリングをしないで泳ぐことになります。腕かきになってしまう。そうは言ってもクロールは多少のローリングは入る。

キャッチはリラックスが命なんですが私の場合、目一杯内旋方向へ力を入れている為、リラックスどころか、ガチガチに固まってしまいます。というわけで今の私は、選手のようなハイエルボーは行いません。

 

腕全体を斜めにする(キャッチポイントを深くする=ゼロポジションにする)ドラフティング効果のキャッチを行います。

 

 

 

 

 

  6 プル (シメ)

キャッチしたら(肩甲骨を念め、腕全体を緩めたら)脇の下に力を入れて回転力で漕ぐ。(?と感じた人は14記事参照)すると自然に内旋しながら、手が太もものつけ根まで移動します。なにも考える必要はない。本能のままに無意識でいい。見た目はストレートプルになる。※厳密に言えば緩いS字です。S字は意識して行うものではない。この辺を皆さんよく勘違いされます。

 

従来からあるS字プルは、末端意識のいわばオーバーアクションです。そのS字プルというのは、いったん外へスカルしますが、じつはこれこそが肩を壊す原因なんです。その理由は、明らかにゼロポジションから外れており、肩の一番弱い部位を酷使するからです。

見体的には・・親指入水で目いっぱい上腕を内側へひねったまま前へ伸はす。するとグライド時の手の平は外を向く。すると肩甲骨が前へ伸びきる為、手の平側へのスカルに力が入らない。無駄な動作となる。手の平は下に向ければ、必要以上に内へひねらない為ラクになる。

 

そして、注目してほしいのがプルの後半。

 

現在、大抵のスイマーは上腕三頭筋でのフィニッシュを行っています。見た目は肘がピーンと伸びきってリリースしている。肘の過伸展をしているスイマーもいます。実はこれも肩関節に負担がかかります。なぜか?

 

その前に・・内旋という動作は四足獣であった時の名残です。その四足獣は、ゼロポジションを保ちながら内旋して走ります。人間は二足歩行で上肢の自由度が格段にアップしました。つまり、ゼロポジションを外れた動作も容易に出来てしまうんです。だから、裏を返せば故障のリスクが高い。

人間も、力を入れる内旋動作は、なるべくゼロボジンョンですべきなんですね。このことは、解剖学的な観点からも明白です。

エピローグでも触れたように、大胸筋と広背筋は『万歳』のゼロポジションは筋繊維が起始~停止までまっすぐですが、『気をつけ』のフィニッシュではクロスして(捻れて)いる。ねじれた繊維は負担が大きくなる。力も最大限に発揮できない。このことに気付いている指導者が果たしてどれくらいなのかはわかりませんが・・

 

さて

プルの開始位置つまり、キャッチはゼロボジンョンです。そこから内旋の主動筋である広背筋でプル(内旋しながら引く)します。しかし後ろに引くほどゼロボジンョンから外れていく。

これは言いかえると、後ろに手が移動する程力を抜く必要があるということ。広背筋でプルすれば後半には力が抜ける。

 

内旋の力が最もかかるのは、プル開始のゼロボジンョン時です。そしてプル前半まで力は入っています。プル後半に力が抜けたらその反動で外旋し始める(リカバリーが始まる)。

要は、大胸筋広背筋をゼロポジションでフル活用するということです。

 

 

もう1つ忘れないでいただきたいのが、体幹の回転力との関係です。

ローリングの開始時は、ゼロポジションをキープします。そして(反対の入水した手を伸ばすことによる)回転についていくように脇の下に力を入れる。

ここで意外と知られていないことを述べます。実は、脇の下に力を入れて引くだけで体幹が回転します。プル開始から、内 旋 し な が ら引くと、その反動でプルする側が水上に出ます。入水側の腕による回転に同調させることでラクにパワーが出せます。回転開始から回転終盤まで、つまりプル全域で回転力が利用できるんですね。だからこのゼロポジションを、指導者によってはパワーポジションと言うんです。

これがクロールにおける初動負荷の根拠となります。

 

対し、従来の上腕三頭筋でのフィニッシュ(後ろに手が移動する程力を入れる終動負荷型)は、肩甲棘のラインと上腕骨の長軸ラインが最大の角度になる位置で最大の力を加える為、不自然なひずみが筋繊維に発生する。先程述べた、大胸筋広背筋も捻れる。また、肩関節を締めた状態になり血流が悪くなります。このことが水泳肩の原因及び疲労となる。終動負荷のデメリットがこれです。

そして回転力との関係です。

プル開始時、脇の下にグッと力を入れない(肩甲骨を下制しない)終動負荷では、回転力が腕に伝わりません。広背筋そのものによる回転も起こりません。

広背筋のパワーを有効活用していない。

これが終動負荷の最大のデメリットですね。

 

 再び蛇足ですが、水泳でよく使う言葉、プル。直訳すると引く。

プルというのは、後方へ押すのではなく、前方から手前に引くんです。選手が後方へ押しているように見えるのは、泳速が上がり身体が前へ移動するからです。

 

プルは、内旋動作が必ず入ります。注)文字通り肩関節の内旋だけを行うという意味ではありません。あくまで体幹の回転+引く動作が入ります。具体的には、(回転同始から)広背筋を使って肩甲骨を足先方向へ引きます。念を押しますが背中方向ではありません。

肘を伸はし切っていたら脇が締まりすぎてスムーズなリリースが妨げられる。内旋の本能的な反動(ドッジムーブメント)が利用出来ない。

 

 

さらに余談ですが、フィニッシュというのは終わり、仕上げという意味です。ストロークのフィニッシュとは、プルの終わりです。

力を最大に出しきるという意味ではない。なのに実際は、上腕三頭筋で力いっはい押しきることがフィニッシュだと勘違いされている。つまり、終動負荷が水泳の常識になってしまった・・。いつからこうした誤りがまかり通るようになったのか・・?

 

話がだいぶ飛躍しましたが、押す意識で脇を完全に締めるのではなく、引く意識を持って脇に遊びを作ってリリースに繋げていく。このほうが反動を利用できるんです。

この動作が医学上、理にかなっている。なぜか・・?それは、肩甲棘ラインと上腕骨長軸ラインの角度が小さいからです。また、脇が開いたほうが血流を阻害しないからです。

 

そして・・ここが重要なんですが、

脇を少し開いた時が内旋しやすい。つまり反動が使える。

 

そして、リリースは最大に内旋しきった状態になっています。手先が水上に出て初めて外旋します。

 

!参考!

フィニッシュからリリースにかけては、ブルに力を入れるほど内旋しきる形になる。内旋域の広い選手は、リカバリー前半まで内旋が継続される。中にはリカバリーの手の平が上を向く選手もいる。だが、表面だけを真似てリカバリーでムリに内旋してはならない。

 

 話がそれましたが、

逆に、脇を締めると外旋しやすい。つまり、肘から引いてしまう。そして、水が引っかからない為、上腕三頭筋で押しきらざるを得なくなります。だからすぐに疲労する。

 

!! 水泳では『脇を締める』という表現には注意が必要。普通の人(私もそうですが)は『気をつけ!』のごとく脇を閉める、あるいは閉じることだと思ってしまいます。もっと言えば、体温計を脇に挟むように力を入れるんだと思ってしまう。当記事での『脇を締める』とは、普通の人の感覚で『脇を閉める』という意味で使用しています。

 

水泳での本来の脇を締めるとは、プ ル 前 半 に、肩甲骨を外に開いて下制せよ!という意味です。つまり、肋骨に肩甲骨を(広背筋と前銀筋により)密着させ、体幹と腕を繋けよ!ということ。密着すれば体幹の力が腕に伝わるようになるんです。

背骨に肩甲骨を寄せると、肋骨から肩甲骨が浮いてしまう。つまり、体幹と腕が分断されてしまう。

自動車で言えば、シフトレバーがNに入って、エンジン側とタイヤ側が切り離されている状態です。だから動力がタイヤに伝わらない。そこでシフトレバーをDに入れると、エンジンとタイヤは繋がる。この繋げる行為が、本来の脇を締める!です。

 ただし・・

私は、脇を締めるという言葉はあまり使いたくない。『脇を締める』という言葉を使うのではなく、『脇の下の筋肉に力を入れて引く』『肩甲骨を下制する』と具体的に言いたい。要は、脇の下の広背筋に意識を持て!ということです。

 

さて話を戻します。

外旋してしまうと背中の面を超えてリリースしてしまう。もちろん反動は起こらない。意識してリカバリーすることになる。特に、ストレートアームで誤まるのがここです。

ところで 、

内旋の反動(ドッジムーブメント)をフル活用しているのが、とてもわかりやすいスイマーがいます。

池江璃花子選手です。彼女のストレートアームのリリースは、水中で肘が伸び切らず、その為水上ではね上がります。手の平があのようにひる返るのは、最大に内旋しているからです。そして、肩甲骨は前へスライドしている。つまり、この時点で重心が前へ移動しているんですね。これがドッジムーブメントの特徴です。こうした反動を上手く利用出来るから、驚異的な速さで泳げるんですね。→詳しくは52記事の6フィニッシュ参照

 

 ここで何が言いたいかというと、実際の泳ぎでは、筋トレ的な上腕三頭筋によるプッシュではなく、内旋動作が肩甲骨の動きには重要だということです。

 

 

というわけで、

フィニッシュというのは、力いっはい脇を閉めて肘を伸ばしきることではない。

ドッジムーブメントでリリースに入る動作を言います。 

別の言い方をすると、『瞬間的に内旋しきること』となります。

要は、体幹意識(広背筋)でフィニッシュするということ。すると末端の手はそれにつられて反動で大腿付け根まで移動します。↓

 

http://www.nicovideo.jp/watch/sm29878276

 

ちなみに内旋していないと、手は腰の高さで中途半端に終わります。これが私の言う、フィニッシュ出来ていない状態です。

※さらに重要なことを52記事の6フィニッシュで述べています。

 

次のビデオ『リカバリー③』のフィニッシュをよく観察してみて下さい。

プルからリカバリーにスムーズに移行しています。内旋により、手先が水着の横まで移動していますよね?これがクロールの本来のフィニッシュです。 

 

 

 

反動を使って一瞬でリリースすると、重心が前にかかったまま、とてもラクに体を前に進めることが可能です。上腕三頭筋で押し切るのは(気をつけの状態というのは)、重心がかなり後ろに移動します。

左右重心移動もそう。右腕を伸ばして右に重心を移動するには左腕は速やかにリリースする必要がある。その為に前述のドッジムーブメントが必要です。後方へ押しきるというのは、重心移動にブレーキをかけているのと同じです。

また、押しきると力んだままリリースしてしまい、次のリカバリーもリラックス出来ない。

私の場合、押しきらないフィニッシュのほうが、ラクに速く泳げます。このことは実際にダッシュで実証しています。↓

[注 あくまで軸の練習の一環として毎回呼吸しています。実際のダッシュはほとんどノーブレです。]

 押しきることのデメリットは他にもあります。53記事をご覧下さい。

 

 

 

 

 

7 リカバリー (ゆる)

  水泳は、誤ったフォームのままで肩を使いすぎると軟部組織の炎症を引き起こしやすい。特に肩甲骨が固い人は要注意。

 

クロールのリカバリーは、外転方向つまり脇の下を開く行為です。

だから、内旋したままリカバリーすると必ず後半に、上腕骨頭が肩峰と衝突し、ロックがかかる。このまま前に腕を伸ばすと二者の間にある軟部組織がこすれ合い強い摩擦を生じる。親指入水の意識が強いほどリカバリー後半に内旋したままになる。

私がそれを行うと、とても不自然な動きになります。これを延々とくり返せばインピンジメント(衝突)症候群を引き起こしやすくなります。そうならぬよう、必ずリカバリ後半 には外旋させる必要がある。

※意識して外旋はしない。内旋の反動で無意識に外旋する。

その為、リカバリーは必ずリラックスしながら行います。

具体的には、

手先の意識を捨てること。

そして肩甲骨を寄せるのではなく・・

脇の下を開く!

肘から先は脱力します。すると自然に外旋しながらリカバリー出来ます。結果的に回内回外中間位(中指入水)になる。先程のフィニッシュでも述べましたが、プル後半に力を入れて押しきると、力んだリカバリーになります。

リラックスした、きれいなリカバリーは、プル後半に力が抜けているから可能なんですね。

どうしたら後半に力が抜けるの?

それは、後方へ押すのではなく、前方から引く意識を持つことなんです。

でもさ、引くと肘から引いちゃうじゃん。

それならば、もぐらが・・いや犬が穴を掘るイメージを持つといいですね。

某大学の学生さんからお借りした言葉ですが、

 

『ここほれワンワン!』

 

この引く意識だから、反動でリカバリーできるんです。↓

 

http://www.nicovideo.jp/watch/sm26541116 

 

それでもうまく脱力出来ない場合は、手の平を内側に向けてリカバリーする。親指から入水ではなく、小指から入水!と意識すると、確実に外旋させることが出来ます。

 

※必ず体幹をローリングさせてリカバリーすること!ローリングすることにより背中の面(外転方向)上を上腕が移動し、ゼロポジション(サメのポーズ)へと向かいやすくなる。結果、肩がラクになります。

先程も述べましたが、

肩甲骨を背骨に寄せる(背中の面を越えた動作になる)必要は全くありません!!

 

 

 ある指導者が、肩甲骨を意識して背骨に寄せる(ハイエルボー)リカバリーを推奨していますが・・肩の柔軟性を高める以前に、肩を壊します。ローリングを抑え、肩甲骨を寄せてリカバリーしなさい!ということですが、私には到底理解できない。水泳選手ならともかく、大人から水泳を始めた人が肩甲骨を意識したら、かえってギクシャクしたリカバリーになります。

 

というわけで肩が固い人が肩甲骨寄せたり、親指入水を行うと、水泳肩になりやすくなります。

 

ちょっと待って!水泳は肩甲骨が柔らかく大きく動くからいいんでしょ?肩甲骨が重要でしょ?

はい、その通りです。実は、ここに罠があります。私の持論ですが、重要な部位は意識して力を入れてはならない。結果として無意識に動いているんですね。

 

クロールのストロークは、脇の下が鍵を握っています。脇の下を意識することにより、結果として肩甲骨が動きます。脇の下を意識することにより、ゼロポジションでの動作が可能になります。

 

 

 

 

 

 

今回は、医療従事者の私が一番書きたかった内容でしたが、かなり専門的でわかりにくかったかも知れません。しかし、水泳というものは陸上と違い、独特の動きをするスポーツです。リラックスさせるのが非常に難しい。また、誤った体の使い方を平気で行ってしまいやすい。

あなたの体、どこかしら痛みや不調が出ていませんか?体は訴えています。

それは止めてくれ!

それでも我慢して、体を騙しだまし、常識通りにやっている・・

常識だから?  みんながやっているから?

自分の体の声に、もっと耳を傾けてください。

 

健康によいと言われる水泳。だが、水泳の常識にはリスクが潜んでいることを忘れないで頂けたら・・。皆さんに、一つでも心当たりがあればぜひ、改善されることを心から願います。

 

皆さんも私と一緒に、体に優しいフォームを追求しましょう!